【旬のうまい魚を知る本】 >
▼紀州流タイ茶漬けの作り方

加太の漁師は、ちり(水炊き)や浜鍋、しゃぶしゃぶなどの鍋料理も好むが、ここのタイ料理を一品取り上げるとなると鯛茶漬けになる。熱いご飯にマダイの刺身とおろしワサビをのせ、これに熱い茶をかけて醤油を少したらすというのが紀州流。マダイの淡泊な身と茶とご飯と醤油の味が渾然一体(こんぜんいったい)となった味わいは、ほかの料理ではまず楽しめまい。ことに酒席のあとのこの一杯は満足このうえない。
マダイは「桜鯛」と呼ばれる春の産卵期と冬場の脂がのった時期を旬とする。5~6月になると、産卵後のため身がやせて味が落ちる。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070049 |