▼城下ガレイがうまいのは、海底に湧く真水に理由がある
「城下(しろした)ガレイ」のブランド名で知られる日出(ひじ)町(大分県)産のカレイはマコガレイである。しかし城下ガレイはほかのマコガレイにくらべるとやや様子が異なる点がある。ほかのマコガレイの旬が冬とされるのに、城下ガレイは田植えの時期、つまり5月から6月までが旬。城下ガレイは幅がいやに広く身が厚い。裏側はやや黄色みを帯びている。そして「その味は比べるものなし」といわれるほどうまい。
なぜ日出沖だけにそんなマコガレイが育つのか。日出町漁協の上野保二組合長はこう説明する。「城下ガレイは暘谷(ようこく)城のすぐ下の海で育つからこの名で呼ばれるようになった。私の推測するところ、うまい理由はそこの海底に湧く真水と海底の泥地にある。真水によって海水の温度がいつも一定に保たれ、それがマコガレイの生息に適温であること。また海底から真水が噴き出ることによって泥が混ざり合い、常に新鮮な酸素が供給されること。こんな特殊な自然条件が、うまい城下ガレイを育てると思うんだ」。
| 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070041 |