ワニ①
【わに】
あの恐ろしげなワニは、かなりの子煩悩
水辺にいる動物で怖いのは、やはりワニ。鋭い目と大きな口は、いかにも獰猛そうだ。ところがこのワニ、いったん子持ちになると変身して、人間の親もかなわないほど子煩悩になるという。生まれたばかりのワニの赤ちゃんは、体長三〇センチほど。いくら「やがてはアマゾンの王者に育つ」とはいえ、これでは天敵も多い。それを成長するまで見守るのが母ワニの務めである。見守るといっても、ただ危険から避けさせ甘やかすだけではいけない。一年もすれば子ワニは親離れしていかなければならない。そうなっても困らないよう、幼少時からのしつけが重要になるのだ。ワニの赤ちゃんにとって最優先事項は、水中で生きていけるよう体を慣らしておくことだ。陸上に上がることもあるワニだが、歩くのは苦手で泳ぐほうが移動は速くできる。母ワニは水中でも自在に移動できるよう泳ぎを教えなければならないのである。その訓練に、母ワニは自分の体を使う。水中の浅瀬で尻尾をくるりと曲げて頭にくっつけるようにして輪をつくるのだ。その輪のなかにたまっている水中で、赤ちゃんワニの泳ぎの訓練をするのだ。泳ぎ疲れた赤ちゃんワニが水から出たがると、足を使って自分の体にはい上がらせてやったりもする。母ワニはたいへんなのだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820981 |