神輿
【みこし】
神様の乗り物なのに、なぜ揺らす?
祭りのときに町内を練り歩く神輿。お祭りの風物詩として目になじんだ感があるが、よくよく考えれば、「神様の乗り物」をどうしてゆっさゆっさと揺らすのだろう。神輿の起源には諸説あるが、その一つとして、狩猟と採集による移住を繰り返した時代におこなわれた収穫祭の祭壇が起源で、このときは祭りが終わると神輿は取り壊され、毎年新たな神輿をつくって天上の神を招いていたというものがある。これより考えると、本来、神輿は神様を乗せ、静かに担ぐのが習わしであったようだ。祭りに際しての神輿が誕生したのは、奈良時代、大分の宇佐八幡宮が最初といわれている。「隼人の乱」が勃発したとき、朝廷が八幡宮に祈願すると、八幡神が自ら戦場に赴くという信託を下されたので、八幡神の乗り物として神輿をつくったとの言い伝えがある。また、江戸時代以降になると、各地に様々な神輿が生まれて、わざと神輿を揺さぶったり、神輿同士をぶつけたり、海や川へ入れるといった神輿も生まれたのである。この時代は、勇ましく神輿を振ることで、担ぎ手たちが神との一体感を感じいてたらしい。また、神輿が暴れれば暴れるほど神の力も強まり、疫病退散や豊穣をもたらす力が大きくなると信じられていた。激しく揺らすことが、すなわち神事なのである。担ぐ時の掛け声は「わっしょい」や「えっさ」というところが多い。「えっさ」の語源については、古代ヘブライ語の「エッサ」(「運ぶ」の意)から来ているという説もある。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820861 |