マムシ
【まむし】
爬虫類は卵を産むのが相場だが、マムシは子どもを産む
いくら動物園であっても、ヘビににらまれると、足がすくんでしまう人もいるに違いない。それほどヘビの目は大きくて鋭いように見える。しかし、本当は視力は弱く、ヘビのなかには目が退化した種類もある。これは、進化の過程で一時生活の場を地中に求めたことと関係があるらしい。そのとき、手足も退化した。しかし、その分、発達しているのが嗅覚だ。舌をチロチロ出しているのは匂いを嗅ぐためで、これで獲物を探す。マムシの仲間はさらに便利な器官を持っている。目と鼻の間にある「ピット」と呼ばれる器官で、動物が発する熱を赤外線として感知する。だからマムシは普段は夜活動して、ネズミやカエル、トカゲ、鳥などを捕食する。人にかみつくということは少ないが、メスが子どもを妊娠している夏には、カルシウムを体内で量産しようと太陽にあたるため、人と遭遇することも多くなる。マムシにかまれるという事故が起きるのもおおよそこの時期である。夏に妊娠したマムシは、秋に子どもを数匹産む。卵でなく子ヘビを産むので、胎生の爬虫類ということになる。爬虫類では珍しいが、ヘビの仲間には結構胎生のものがいる。その一つにハブがいる。ハブはマムシ同様ピット官を持っているし、どちらも毒ヘビである。もちろん毒ヘビでない胎生のヘビもいる。中国にいるミズヘビは毒ヘビではないが、一〇匹以上の子ヘビを産む。このヘビは毒で人に致命傷を負わせといどころか、逆に人間の食材として料理されてしまうそうである。そのためか、現在生存数が減っているということだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820843 |