ベストセラー
【べすとせらー】
一九世紀にはすでに発表されていた「大量に売れた本」
ベストセラーとは比較的短期間によく売れた商品、おもに書籍をさす。一八九五年、アメリカの月刊文芸誌「ブックマン」が、アメリカの一九都市の書店で最もよく売れた六冊の新刊書を紹介したのがはじまりといわれる。一八九七年、同誌は初めて全国的に最も売れている本を調査し発表した。一九〇三年頃からは、毎月上位六冊を取り上げ、誌面で「六冊のベスト・セラーズ」と称して発表した。これが「べストセラー」という言葉のはじまりらしい。一〇〇万部以上売れた書籍をミリオンセラーと呼ぶのに対して、何万部以上売れたらベストセラーと呼ぶのかは実は曖昧である。一般に一〇万部以上売れた書籍をさすことが多いが、分野によって異なり、児童書は2万部以上売れたらベストセラーと呼ぶそうだ。日本で最初に「ベストセラー」という言葉を用いたのは「週刊朝日」で、一九四六(昭和二一)年五月一九号でのこと。定着したのは、波多野勤子著『少年期』(昭和二六年)が大部数売れた頃からという。ちなみに明治初期では、福沢諭吉の著作がよく売れ、『学問のすゝめ』は全集で三〇〇万部以上、『西洋事情』は偽版も加えると二〇万部以上にも達したという。戦後は『日米対話事情』、森正蔵の『旋風二十年』、尾崎秀美の『愛情はふる星のごとく』、笠信太郎の『物の見方について』などがベストセラーとして挙げられる。世界一のベストセラーはなんといっても『聖書』である。現在でも世界で最も売れる書物としての座は不動のもので、全部、または一部が翻訳されている言語は一二〇〇以上にも達する。日本でも聖書は毎年四〇〇万部近く頒布されているという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820790 |