ハエ
【はえ】
脚を擦るのは穴をふさがないため?
とまっているハエは、しきりに脚を擦り合わせている。あれはいったい何をしているのだろうか。ハエの足の裏にはたくさんの毛が生えており、その一部の先端には小さな穴があいている。ハエがしきりに脚を擦り合わせるのは、その穴がゴミや汚れでふさがってしまわないように、掃除をしているのだろうと考えられている。なぜそんなに必死になるかというと、その穴がふさがってしまうと、食べ物の味がわからなくなってしまうからだという。そう、ハエは足の裏の毛で食べ物を味わっているようなのだ。人間の場合、舌の上面にある味蕾という花の蕾のような形をした小さな器官で味を感じている。その数は約一万個。ハエの場合は、足の裏の毛が味蕾にあたる働きをしていると考えられており、味の分子は、先端の穴から毛のなかに入っていくという。毛の根元には複数の味細胞があり、それぞれ異なる味の受容を担当している。穴から入ってきた味の分子は、味細胞から毛先に向かって延びている味受容突起にたどりつき、どんな味なのかが脳に伝えられるというしくみだ。また、毛のなかはリンパ液で満たされているため、リンパ液に溶けない疎水性の分子の場合は、リンパ液に含まれる運搬タンパク質分子によって味受容突起まで運ばれる。味蕾が口以外の場所にある動物はほかにもいる。たとえば一般的な魚(サメ、エイといった軟骨魚類を除く硬骨魚類)は、口のなかにあるほかに、体の表面にもあり、それも高密度で分布しているという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820694 |