年輪
【ねんりん】
切り株の年輪を見ても、方角はわからない
樹木は日のよく当たる側の成長のほうが早いため、年輪の幅に差が生まれる。だから、年輪の幅の広いほうが南の方角だ。そんな話を聞いたことがないだろうか。この話、鵜呑みにすると、いざ山道で迷ったときなどにたいへんなことになりかねない。この話は結構まことしやかに伝わっているが、根拠はないらしいのだ。年輪が一年に一本ずつできるのはその通りだが、年輪の幅は日の当たり具合ではなく、山の傾斜によって生まれることが多い。斜面に生えている木は、どうしても谷側に傾斜しがちである。そこで、谷側へ倒れるのを防ぐために、谷側のほうの成長が早くなるということのようだ。その証拠に、平らな場所に立っている樹木の場合、年輪の幅はほぼ均一になる。また、針葉樹と広葉樹でも年輪のでき方に違いがある。針葉樹の場合は、自分の幹の中心を斜面の上のほうにもってきて、倒れないようにするため下側に向かって年輪が広くなる。広葉樹の場合は、自分の幹の中心を斜面の下のほうにもっていき、上側に向かって年輪が広くなる形でバランスを取る。なので、まったく東西南北とは無関係だ。山道で切り株を見ても、磁石代わりには使わないほうがよいようだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820679 |