ノートルダム平和大聖堂
【のーとるだむへいわだいせいどう】
大統領のポケットマネーでつくられた!
アフリカ中西部の国コートジボワールにあるノートルダム平和大聖堂は、一三〇ヘクタール(東京ディズニーランドの約一・五倍)の敷地を持ち、中央部の建物は高さ五八メートル、長さ一〇〇メートルにも達する世界最大級のカトリック大聖堂である。礼拝堂には、延べ七三六〇平方メートルにもおよぶ壮麗なステンドグラスがはめ込まれているという豪華さだ。もっと驚くのが、この大聖堂を建てたのが国でもなく教会団体でもないことだ。大聖堂の建築費用は、なんと当事の大統領ウフェ・ボワニ氏の私財でまかなわれたのだ。しかもボワニ氏は、完成した大聖堂をローマ法王庁へ寄進することにした。驚いたのは法王庁で、あまりにも巨大な建造物を簡単に受け取ることもできない。結局は国が大聖堂の運営と管理をするということになった。一九九〇年のことである。ちなみに、ボワニ氏は大の親日家で、国のあるべき姿の手本として日本を挙げていたほどだ。それにしても、たった一人の大統領のポケットマネーで世界最大級の大聖堂を建設できるなんて、コートジボワールはそれほどに豊かな国なのだろうか。現在のコートジボワールは、債務過多の国で、財政的にはかなり厳しい状態が続いている。しかし、かつては「コートジボワールの奇跡」といわれるほど豊かな国だった。世界一の生産量を誇るカカオ豆に加え、コーヒーや天然ゴムなども世界有数の生産量だったのである。ところが、こうした特産物の国際価格が急落したために、以前のような収益を上げることができなくなり、いまでは債務国になってしまったのである。ちなみにコートジボワールのキリスト教徒は、国民の約一〇パーセントといわれている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820680 |