トンガ
【とんが】
「日曜日に仕事」は罪!?
南太平洋に浮かぶ、人口およそ一〇万人の島国トンガ。敬虔なキリスト教徒の国で、宗教的な安息日は絶対とされている。キリスト教徒にとって日曜日は安息日とされるが、アメリカでは、安息日を守るか守らないかは個人の考えに従うことが多い。安息日の過ごし方を定める法律などはもちろんないし、商店は自由に営業しているし、様々なスポーツ活動やイベントなども、当たり前のようにおこなわれる。ところが、トンガは国を挙げて安息日を忠実に守っている。まず、ほとんどの国民が日曜の午前中には教会へ行って神に祈りを捧げ、家族や親しい人たちと伝統料理で食卓を囲む。午後は、絶対に活動してはいけない。ひたすら「午睡」の時間にあてるのがしきたりなのだ。トンガの安息日は、仕事をしてはいけないというだけではない。スポーツもダメだし、友人たちと集まって公園をぶらぶら歩いたりするのもダメ。洗濯物を干している人すらいないというから、その徹底ぶりが想像できよう。一九七五年に発布されたトンガ憲法第六条では、「安息日には、いかなる取引、仕事、商業行為をおこなってはならない。この日なされた契約は無効である」とまで決められている。万が一日曜日の日付が入った取引があったら、それは無効になってしまうというのだから本格的だ。かつて、日本の青年海外協力隊の隊員が、友人から借りたテニスラケットを返しに行こうと日曜日に外出したところ、逮捕されるという事件が起こった。その隊員も驚いたことと思うが、なんとその翌日には、隊員を逮捕した警官まで「日曜日に仕事をした」という罪で逮捕されたという話もある。そんなオチまでついているほどトンガの人々の敬虔さはすごいのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820634 |