手品
【てじな】
手品のハトは、なぜ白い?
マジシャンのシルクハットやポケットからハトが飛び出し、羽ばたく。マジックショーでの見せ場の一つであるが、そのハトはなぜか決まって白いということにお気づきだろうか。実はそこにはマジックならではの理由があるのだ。白は見た目にもさわやかで見栄えがするということもあるが、最も重要なのは、それが膨張色であることだ。マジシャンは服のなかなどにハトを隠しておき、いろいろなポーズをつくりながらタイミング良くハトを飛び出させる。隠しておくハトはなるべく小さいほうが都合はいいが、かといってミニサイズのハトではステージで映えない。そこで白いハトを使う。膨張色の白のおかげで、実際よりもかなり大きく立派なハトに見えるのだ。マジシャンが使っているハトは、ギンバトと呼ばれる種類のハトが多い。このハトは、公園で見かけるハトに比べかなり小さい種類で、人の握りこぶしぐらいの大きさしかない。しかし、白い羽をぐっと広げると、身体の四倍ぐらいの大きさに見える。そのためステージ上で非常に見栄えがするのだ。このマジック、やはりマジシャンとハトとの息が合うことが成功の秘訣で、マジックに使うハトは、マジシャン自らが世話をして飼い慣らしているという。おとなしく服のなかに隠れているのはハトにとっても至難の業で、よほど賢くて気性のよいハトでないとこなせない。そのためマジシャンは、飼っているハトのなかから、「こいつならいける」というハトを選び出し、芸を仕込んでいくようだ。ちなみにショーの前には、粗相のないようにハトには水もエサも与えない。しかし、ショーが終わったら、ハトの苦労に報いるために、まっさきに水とエサを与え、褒めてやるそうだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820577 |