ゾウ②
【ぞう】
ゾウについている巨大な耳の役割
ゾウの耳は大きいが、インドゾウとアフリカゾウの耳を比べてみると、アフリカゾウの耳のほうが大きい。これには、立派な理由があるという。ゾウの耳があんなに大きくなったのは、暑い地域にいるゾウが少しでも快適に過ごすためだ。ゾウは、巨体の割には汗腺(汗を分泌する細胞)が少ない。そのため、汗腺を使って体温を下げようとしても、十分には下がらないのである。そこで活躍するのが巨大な耳である。耳の後ろには、網の目のように血管が走っていて、耳をぱたぱたと動かすことで、直接血管を冷やしている。こうして冷やされた血液は、全身をかけめぐり、体中のすみずみまで冷やしてくれる。つまり、あの大きな耳は、ほてった体を冷やす働きがあったのだ。そのため、森林を生活圏とするインドゾウよりも、より暑さが厳しいサバンナを生活圏とするアフリカゾウのほうが、耳が大きくなったというわけだ。もっとも、ゾウの汗腺と耳の関係は、汗腺が少ないから耳が大きく発達したのか、体を冷やしてくれる大きな耳があるから汗腺が少なくなったのかはわかっていない。なお、このほかにも大きな耳には二つの役割がある。ゾウの視力はあまりよくないため、外敵などの情報収集は聴覚が頼りである。そこで、よく聞こえるように、あのような大きな耳が必要になった。また、競争の激しい自然界で生きていくには、大きな体のゾウとはいえ、ほかの動物と対峙しなければならないこともある。そんなとき、あの大きな耳を広げれば、相手にとっては大きな脅威となる。つまり、あの耳は、ほかの動物を威嚇するためのものでもあったのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820494 |