ゾウ①
【ぞう】
ゾウには、死んだ仲間を埋葬する習慣がある!?
ゾウは死が近づくと、こっそり仲間のもとを抜け出して、ゾウだけの墓場に向かう……。そんな話がまことしやかに伝えられたこともあったが、実際には「ゾウの墓場」といったものは存在しないらしい。しかし、ゾウには、ほかの動物と違い、死んだ仲間を「埋葬」する習慣があるといわれている。ゾウは、赤ちゃんゾウの世話を群れ全体のメスがやったり、弱って歩けなくなったゾウを仲間が両側から支えてやるなど、仲間意識が強いことで知られている。その思いは、死んだ仲間にも同じように向けられるものらしい。ゾウは、仲間のゾウが死ぬと、一頭ずつそのゾウの体を鼻でなでるという。その様子は、まるで一頭一頭が仲間のゾウにお別れをいっているようで、いわゆる葬式をイメージさせる。また、死んだ仲間の体に木の枝や草、土などをかけてやるという。これは「埋葬」の行為といえるかもしれない。そのほか、死んだゾウのそばを家族のゾウたちが何日も離れず、まるで祈りを捧げるようにしていたとか、死体の牙だけを、まるで形見にするように抜いて運んでいったという話もある。鼻で死んだゾウをなでるのは、本当に死んだかどうかを確かめているだけではないか、あるいは死んだゾウの体に木の枝や草をかけてやるのは、死体に対する畏敬の念というよりも、死体が腐敗して臭くなるためではないかといった見方もあるが、ゾウが「死」というものを、ある意味では認識できている点には変わりない。しかも、こうした「死」の認識は、仲間のゾウにだけあるものではないらしく、サイの死体がゾウによって「埋葬」されたという例もあるという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820493 |