ゲーテ
【げーて】
生涯恋愛をし続けた文豪
フランクフルトの裕福な家に生まれ、ライプツィヒの大学で法律学を学んだゲーテ。学生時代から文学を志し、二二歳で『五月のうた』『野ばら』などの抒情詩の秀作を生み出す。二五歳で『若きウェルテルの悩み』を発表。評判となり、ゲーテの名はヨーロッパ中に行き渡った。二六歳でテューリゲン地方の小国ワイマール公国の宮廷に就職し、生涯この地で役人として仕え、宰相も務めた。彼が死ぬ直前まで延べ六〇年もかけて完成させた『ファウスト』には、彼が生きぬいた時代が様々に映し出されており、ドイツ文学の最高峰と称されている。ゲーテは恋多き男性で、彼の作品はほとんどがほぼ間違いなく彼の恋愛体験から綴られたものだといわれている。ゲーテの恋にはちょっとした特徴があって、ゲーテは全体としてほぼ七年ごとの周期で生命力の高揚と沈滞が訪れ、高揚したときにゲーテは熱烈な恋愛をし、同時に精力的に創作活動をおこなっているのである。つまり、熱烈な恋愛をすると、それに触発される形で多くの作品を生み出してきたというわけである。そんなゲーテが八三歳で死ぬ直前まで執筆を続けたということは、恋する気持ちも高齢になっても衰えなかったということだろう。事実、ゲーテは七三歳のとき、知人の娘である一九歳のウルリーケという女性に恋をし、人を通じて求婚までしている。ちなみにゲーテが結婚したのは一度だけ。彼は激しい恋をしても、なぜか結婚には踏み切っておらず、ただ一度の結婚相手であるクリスティアーネとは、一九年間も同棲した末でのことだった。その理由も、彼女のためというより、二人の間にできた唯一の子どもである長男のアウグストのためだったようだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820273 |