絹ごし豆腐
【きぬごしどうふ】
木綿豆腐と絹ごし豆腐の違いは?
木綿豆腐は、木綿を使って水切りしているから、木綿豆腐と呼ばれる。絹ごし豆腐も「絹」で水切りしているから絹ごしというのだろうと思っている人も少なくないだろうが、豆腐屋さんにいわせれば、これは大間違いである。ある豆腐屋さんに尋ねたところ、「絹ごしは、あくまで木綿豆腐に比べてきめの細かい口触りをあらわすためにつけられた名前。絹ごしのほうは絹も使わなければ、布自体も使わない。この二つはつくり方も違うよ」という。まず、木綿豆腐をつくるには、豆乳(ゆでた大豆を漉したもので、しぼりかすは「おから」)に凝固剤(にがり)を加えて固めたもの(おぼろ豆腐)をいったん崩して、穴の空いた箱型に入れ、上に重しをのせて圧搾(水切り)する。そうすると、水分が抜け、木綿豆腐ができ上がる。このとき、豆腐を入れる箱型に、昔は木綿の布を敷いたため、豆腐に布目のついた木綿豆腐ができたというわけだ。現在では、木綿ではなく、使い勝手のよい合成繊維の布を敷く場合が多いようだが、ザラッとした布目とあの固めの食感は型崩れしないので、煮込み料理や炒め物にも使いやすく、木綿豆腐ならではのよさがある。一方、絹ごし豆腐は、滑らかな舌触りとツルンとしたのど越しが決め手で、そのまま醤油と薬味で食べたり、サラダに使ったりと幅広い。木綿豆腐とのつくり方の違いは、圧搾(水切り)をしないこと。豆乳と凝固剤を型に入れて固めたものが、つまりは絹ごし豆腐だ。水切りをしないのだから、型に水切り布を敷く必要がない。だから、表面にはまったく布目がないのである。あくまで商品のイメージを伝えやすくするため、「木綿」という言葉に対して「こちらは、まるで絹の布で濾したように滑らかできめの細かい豆腐です」という意味でつけられた名前というわけだ。ちなみに「湯葉」は豆乳を煮立てたときに表面にできる薄皮のこと、「高野豆腐(凍り豆腐、凍み豆腐)」は豆腐を凍結乾燥させたもの、「ごま豆腐」はすりごまを葛粉で固めたもの(豆乳を使うこともある)で、「杏仁豆腐」は杏の種のなかの仁を粉にして寒天で固めたものである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820218 |