カワセミ
【かわせみ】
「青い鳥」が青く見えるのは、目の錯覚!?
童話の世界に出てくる青い鳥。幸せの象徴として描かれていて、手にとって見るまでは美しい青い色なのに、子どもたちが手に取るとグレーや黒の鳥に変わってしまう。童話の世界ではそうなのだが、なんと私たちがよく知っているカワセミには、実は青い色の羽はなく、光の関係などで青く光っているだけだという。鳥の羽毛に見られる色合いは実に多彩で、自然界のなかでもとくに鳥類はその色彩が豊かなことで知られてもいる。その美しい発色の中にも種類があって、①鳥の羽毛自体に含まれる色素の色、②羽毛の物理的な構造に光が反射することで人の目には特定の色として発色される場合。あとは①と②の要素の組み合わせによる発色、という三種類がある。なかでもカワセミの青は、②の構造色によるものなので、幻の色といえる。実際に羽を取って見ると、ちっとも青くはないのである。これは、何もないはずの空中に私たちが「青い空」を見てしまうのと同じ現象で、そのときの角度によってカワセミの色は青から緑色の間で見えるようである。カワセミの羽を切断して、青く見える光を反射させていると思われる層の断面を顕微鏡で見てみると、窪んだ部分の壁が無数の穴で区切られているなど、複雑な構造になっている。この複雑な部分に光が当たることで、美しい青い色が発色しているのだ。冒頭に書いた童話の作者も、実際にカワセミなどを捕まえてその羽を採ってみた経験から、羽だけにしてしまうと、青い色ではなくグレーのようになることを知っていて、こんな物語を思いついたのかもしれない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820198 |