カルピス①
【かるぴす】
「カルピス」の「カル」はカルシウム、では、「ピス」は?
子どもから大人まで、長く愛されている家族向け乳酸飲料のカルピス。その名前の由来はといえば、語感も日本人になじみがあるものではないし、何なのだろうか。カルピスの原料は牛乳。牛乳からクリーム成分を取り去った後に残る脱脂乳に、砂糖や香料、カルシウムを混ぜ、二、三日熟成発酵させた飲み物だ。そのため、カルピスの「カル」は飲料に含まれているカルシウムのことで、「ピス」は、サンスクリット語で仏教の「五味」の次位をあらわすサルピス(熟酥・じゅくそ)に由来しているという。「カル」の由来はわかりやすいが「ピス」のほうが難しい。このサンスクリット語を使うことにこだわったのは、創業者の三島海雲氏。この三島氏が僧侶の息子であり、サンスクリット語に明るかったのである。このため僧侶の息子には、なじみのある言語だったのだろう。ちなみに仏教の「五味」とは、乳を煮詰めて濃厚で最高の乳製品(=醍醐)をつくる過程の五段階の味のことで、乳→酪→生酥→熟酥→醍醐という順である(別項◆◆◆【醍醐味】参照)。最後に最高の味「醍醐味」になるのだが、その次位の熟酥を三島氏は採ったのだ。最終的には、名前を決めるとき、カルビス、カルピス、カルピルの三つの候補があったようだ。三島氏は宣伝の天才といわれる実業家だったが、珍しくその選択には迷い、「赤とんぼ」の作曲で知られる山田耕筰氏に相談をしたという。その山田氏から、いちばん語呂がいいのは、と選ばれたのがカルピスだった。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820193 |