おにぎり
【おにぎり】
太鼓型と三角形の分岐点は愛知県付近!?
コンビニでのおにぎりは売れ筋商品だ。棚には大きさや具や包み方の異なるおにぎりが並び、季節ごとに新商品の開発による限定品やら、旬の素材のものが登場する。それらを眺めていると、一定の法則で分類できることがわかる。海苔の直巻きか専用パッケージのパリパリ海苔タイプかというような味に関するものではない。一個包装か数個のパック包装かという売り方の差でもない。それは、ごく単純な見た目、形である。三角形のものと太鼓型のものとがある。太鼓型の変形で俵型というのもある。人によっては、具は好みのものだが形がヘンで食欲が刺激されないということがあるかもしれない。それは出身地と大きく関連した感情で、おにぎりの形は地域によって違った握り方がされているのだ。おにぎりは、古代の神へのお供えがルーツだ。農村の祭りのときなどに、「神との縁を結ぶ」という意味で、団子などを手で握り丸めたものを供えた。だから最初は、ただの真ん丸に形づくっていた。おにぎりの別名を「おむすび」というのも、縁むすびからきていると考えられる。かつて、こうした考えのもとにおこなわれた調査では、おにぎりの形は愛知県を境に、東日本では三角形と太鼓型、西日本では三角形と俵型というのが多かったという。まれに真ん丸という古代からの形が続いている土地もあった。ただ、神との縁を結ぶことがルーツになっているので、祭祀のときは一概にいえなくなる。慶事・弔事で形を変えるという例もたくさん報告されている。土地によっては、慶事と弔事でまったく逆の形につくるということも起こることになる。コンビニで食欲を減退させるのは、育った土地によって形が潜在意識に刷り込まれているためかもしれない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820132 |