エスカレーター①
【えすかれーたー】
関東では右側を、関西では左側をあけるのはなぜ?
エスカレーターや動く歩道では、急いでいる人のために片側をあけておくのが礼儀だ。そうすれば、急いでいる人はあいている側をスイスイと進める。ゆっくり立ち止まっていたい人は、後ろからせかされることもなくて安心だ。ところが、この急ぐ人のために片側をあけるという行為が、東京と大阪では逆になる。東京では、急ぐ人のために右側をあけておくが、大阪では、一応左側をあけておくのが基本だ。大阪の場合、「一応」という但し書きがつくのは、大阪人は何に関しても「こうしなさい!」と決めつけられるのが苦手で、東京のように、みんなが決められた通りに守っているわけではないからだ。それにしても、同じ国内なのになぜ違うのだろうか。どちらの側をあけるほうが正しいということはないので、これはあくまで慣習にしたがった結果というしかない。一説によると、昭和八年に地下鉄御堂筋線が開通したときが左側通行だったために、その慣習がそのまま続いているとか、一九七一(昭和四六)年に阪急電鉄が、エスカレーターや動く歩道では、急ぎの人が左側を通ってくださいとアナウンスしたことがきっかけだといわれている。歴史的に見ると、武家社会では左側を歩くのが常識だった。というのも、武士は左側に刀をさしていたため、右側をお互いが歩くと、刀の鞘が当たって不都合だったからだ。とはいえ、武士の世界では、追い越す側はどちらからといったきまりはなかったようだ。ちなみに、国内では、同じ関西でも名古屋や京都では、急いでいる人のために右側をあけるのが一般的。世界に目を転じてみると、パリやロンドン、ニューヨークでは大阪流となっている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820104 |