エジプト人
【えじぷとじん】
ネコまでミイラにしていたエジプト人
私たち日本人にとって、ネコといえばイヌと並ぶ二大ペット。親しみやすい動物だが、そのネコも、場所と時代が違うとまったく違った扱われ方をしていたようだ。古代エジプトといえば、亡くなった身分の高い人をミイラにする習慣があったが、なんとネコもミイラにされていたという。ミイラにされていたということは、身分の高さを示しており、どうやらネズミなどから作物を守る農業の神様として崇拝されるようになり、その崇拝が紀元前一五六〇年頃から紀元前一〇八五年頃の新王国と呼ばれる時代に最高潮に達したようだ。美少年の王・ツタンカーメンやアマルナ美術で有名なこの時代に、ネコはとても神聖な動物とされて大切に扱われていた。ペットといえば、ペットのような扱いになるかもしれないが、ネコは農業をするときの見張り役として有能で、サトウキビ畑の鳥を捕らえるときなどにも役割を果たしていた。老衰や病気でネコが死んだ場合、必ず飼い主の家族が、全員、眉を剃り落として喪に服した。また、それ以外の理由でネコを死なせてしまった飼い主の場合は、事故死などであっても今後いっさいネコを飼ってはいけないという判決が下され、もちろん故意に殺したなどという場合は即刻、死刑だった。ここが、現代の扱いと最も違っているところかもしれない。この時代のネコは、死後、ミイラ職人のところへ運ばれて、香油で処理され、飼い主の財力に応じて高価な布などに包まれて、棺おけに入れられてネコ専用の墓地に葬られている。大量のネコを埋葬してあるネコのミイラだらけの遺跡などが、実際に発見されている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820102 |