ウシ
【うし】
人のように指紋がないが、代わりに鼻紋がある
指紋はその人特有のものである。そのため、暗証番号よりも確実なものとして、銀行のATM機利用の際に、登録した指紋でチェックする方法が普及してきている。指にある指紋とか、手に刻まれている掌紋は、本来は滑り止めとしてついているもの。細かな凹凸がついているのはそのためだ。だから、指紋があるのは人間だけではない。動物にもある。ただし、人間のように手を使わない場合は、別の場所にあることもある。たとえば、クモザルは尻尾にある。クモザルは、尻尾を木に巻きつけて、体を支える。そのため、大事な尻尾がツルツルして滑っては危険なので、人間のような指紋が尻尾のところについている。これを尾紋という。ちょっと変わったところでは、ウシには鼻紋がある。ウシの鼻紋は、指紋のような滑り止めではないが、人間の指紋と同じく一頭ごとに異なっていて、同じ模様はない。そのため、体に模様がない和牛などの識別には、鼻紋を活用している。鼻紋の取り方は、ウシの鼻を乾いた布でよく拭いてから、墨汁かスタンプインキを塗り、和紙を鼻に当てる。和紙についた模様が、いわばそのウシの個体証明書となるわけだ。鼻紋は、大きく、中央に溝があるかないかに分かれる。溝がある鼻紋を有溝型、ないものを無溝型という。さらに詳しく見ると、有溝型では、その溝が長いものと短いものに分かれる。無溝型の場合は、有溝型よりも複雑だ。溝のようなものが、下から上へ放射状にあるものと、横のほうへ波のように広がっているものに分かれる。鼻紋が形成されるのは、生後五?六カ月以後。それ未満では、形成途中のため、個体判別の手段にはならない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820079 |