渦巻き
【うずまき】
「トイレの水は、北半球では左巻き、南半球では右巻き」というのはウソ!
「トイレの水を流すと北半球では左巻き、南半球では右巻き」という俗説を聞いたことがあるだろうか。これは、フランスの物理学者ガスパール・ギュスターブ・ド・コリオリが発見した法則で、「コリオリの力」と呼ばれている物理法則の応用だ。地球の自転が地球上を移動するすべての物体に影響を与えるという理論に基づいた俗説である。コリオリの法則は、もともとは熱帯性低気圧(台風)の渦の巻き方が、北半球と南半球で逆になるのを説明した法則。台風だけでなく、潮流にも影響をおよぼしているのだ。確かに、北半球である日本付近で発生する低気圧と違って、オーストラリア付近で発生した低気圧の渦は右巻き(時計回り)方向に巻いている。このことから、トイレや風呂の水が流れるときの渦まで北半球と南半球で逆になるという説が一般的になってしまった。しかし、実際に水道水を流す実験をすると、その流れる向きは必ずしも一定していないことがわかった。北半球、南半球どちらでおこなっても、右回りになるときも左回りになるときもあったというのだ。なぜかというと、実はこのコリオリの力は、風や潮流の速さが時速一〇〇キロを超えるぐらいにならないと作用しないからである。それぐらいの速さにならないと、この法則には関係がなくなる。トイレや風呂の流れの渦に影響があるのは、水の流れ出る方向や、容器の形、排水口の形などで、渦ができやすい方向が決まってしまう場合があるからだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820081 |