イヌ①
【いぬ】
イヌは嬉しいと尻尾を「右」に大きく振る
イヌが尻尾を振っていたから、つい手をだして撫でようとしたら?まれそうになった、などという体験はないだろうか。「尻尾を振っているのは機嫌がいい証拠では?」と思えるところだが、振り方によっては必ずしもそうでない場合もある。イタリア・トリエステ大学のジョルジョ・バッロールティガラ氏らの研究チームがおこなった実験では、イヌは飼い主を見たときには右に元気よく尻尾を振るが、見知らぬイヌなどを見た場合には左に振ったという。また、飼い主でない人間や、ネコの場合にも尻尾を右に振ったが、その振り方は飼い主のときよりも小さかったそうだ。もともとイヌが尻尾を振るのは、後方にいる相手に警戒を示すためという。スイスの動物行動学者によれば、尻尾で感情をあらわすのは、イヌの遠い祖先であるオオカミの習性の名残だそうで、その頃のイヌは、群れの序列や力関係を示すために相手を威嚇する必要があるときに、尻尾をピンと立てて小刻みに振っていたという。現代のイヌも同じで、興奮したときは尻尾が立ち、小刻みに振る。振り幅が小さく速いときは威嚇の意味がこもっているのである。ちなみにイヌの感情は、尻尾だけではなく耳の形によってもわかることがある。イヌは攻撃的になっているとき、耳がピンと立っている。緊張しているのだ。逆に、後ろに倒すように寝かせているときはリラックスしている証拠。自分より強いイヌに出会って怯びえているときなどは、耳を下げ、尻尾を股間にはさむなど、常に耳と尻尾はセットで感情をあらわすことが多い。イヌの気持ちを理解せずに、尻尾を振っているからといってむやみに近づいては、痛い目を見ることになりそうだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820054 |