あくび
【あくび】
なぜあくびは伝染するのか?
人のあくびを見ていると、つられて自分もあくびをしてしまう。誰しも経験したことがあるだろう。あくびが伝染するのは、何もあくびをした人と同じ場所にいるときだけではなく、ビデオなどの映像のなかの人から伝染したり、あくびの音が聞こえただけで伝染したりすることもある。あくびは、人間がサルだった時代には、集団間における何らかのシグナルだったとする説がある。何かの目的のために、シグナルとして祖先たちは集団で同時にあくびをしていた。長い時を経て、その目的を失い、あくびに本来の意味はなくなってしまったが、集団で同時にあくびをするという行動パターンだけが現代まで残ってしまったとするものだ。そのために、一人があくびをすると、サルだった頃の行動パターンが呼び起こされ、そのあくびに合わせて、ほかの人たちもあくびをしてしまうとしている。サルやヒヒの場合、集団間で脅しのシグナルとしてあくびをするという報告もある。彼らは特別に長い犬歯を持っており、あくびをしてそれを相手に見せることで威嚇するというのだ。強いオスは頻繁にあくびをするのに対し、弱い立場にあるオスの回数は少ない。また立場の弱い個体が、あくびをする際に口を手で覆うという仕草をしたという報告もある。これは脅しのシグナルであるあくびを見られないように、隠していると考えられる。これは、人間があくびをする場合に手で隠すという行動をとることと、何か関係があるのかもしれない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820009 |