アサガオ
【あさがお】
四億年を経た現在も、体内時計は一日二〇時間
人工照明を使って、一日の長さ、昼夜の長さを自由に調節できる環境のなか、アサガオを育てたとする。常識的に考えれば、自然界の摂理の通り、一日二四時間が植物にとって最適の時間だと思えるのだが、実験の結果は、予想外のものになった。アサガオがよく育ち、最も花が早く咲いたのは、一日の時間を二〇時間としたときだった。一日の時間が長くなればなるほど、アサガオの育ちは悪くなり、短すぎても発育が遅れる。また、夜の長さが八時間以上だと、たとえ昼が短くても、育ちには影響がなかった。アサガオは、一日の長さによって生長速度が左右される。なぜ一日の時間を二〇時間に設定したときに、アサガオが最もよく育ったのだろうか。アサガオは、ヒルガオ科アサガオ属の植物で、美しいことから、おもに観賞用として栽培されている。アサガオの祖先は古く、四億年前には、すでに地球上に存在していたとされる。四億年前といえば、地球の自転は現在よりも速く、一日の長さは二〇時間ほどだった。それが、月の引力との関係でブレーキがかかって次第に自転速度が遅くなり、現代の一日二四時間となったようだ。しかし、地球の環境が大きく変わるなかでも、アサガオの遺伝子には、四億年前の、一日の長さが二〇時間だった頃の情報がしっかりと刻み込まれていて、四億年を経た現在でも、その頃の情報をしっかりと伝えているといえる。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全2」 JLogosID : 14820010 |