モアイ像
【東京雑学研究会編】
§イースター島のモアイ像には目があった?
イースター島は南太平洋に浮かぶ絶海の孤島である。現在は南米のチリ領となっているが、その本土からも四五〇〇キロも離れたところにある島だ。
ここには巨石文明の一つとして名高いモアイ像がある。島の中には一〇〇〇体もの石像があるのだが、一体この石をどうやって運んだものか。巨石文明の多くと同様、さまざまな謎が残っている。多分、これらの石像は儀礼用の祭壇に、先祖の像として置かれたものではなかったかと推察されている。
モアイ像には目がなく、それがいっそう悲しげな表情に見せているのだが、実は作ったときには目はあったのである。
発見されたときには、どのモアイ像にもきれいな目が入っていたらしい。しかし、一七世紀から一八世紀にかけて、島に上陸した白人が目を次々と略奪していったのである。現在は、博物館に一部保存されているだけ。ただ、色の違う石で白目と黒目を彫っただけのものだが、すべてが奪われていった。
侵略者としては、被征服者のシンボルのように立つ像のいちばん美しいところを奪っていくことに、快感を覚えたのだろうか。しかし、目がなくなったことで、モアイ像は、見るものの印象をより強くしているのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670926 |