メトロノーム
【東京雑学研究会編】
§メトロノームをはじめて使った音楽家は誰?
メトロノームは、演奏のテンポをとるためにかかせない音楽用機器である。振り子時計のようなこの機械の速さは一分間に刻む数で表示され、四〇~二〇八の範囲が普通である。
この機械、ドイツ人のヨハンネス・メルツェルが発明したといわれているが、実際にはオランダ人のディートリッヒ・ヴィンケルが一八一二年頃にすでに発明している。
では、なぜ発明者の名前が違うのかというと、このヨハンネス・メルツェルとディートリッヒ・ヴィンケルは、そもそも友人関係だったらしい。
ある日のこと、ディートリッヒ・ヴィンケルは、メトロノームの作り方をヨハンネス・メルツェルへ、それはそれはていねいに教えてしまったのだ。
作り方を教わったメルツェルは、さっさと特許権をとってしまった。
そして、一八一六年、メルツェルはメトロノームを自身の発明品として売り出し、このおかげで大もうけをしたといわれている。
その翌年のこと、ベートーベンがはじめてこのメトロノームを使って作曲をしたといわれている。
彼の交響曲第八番は、全楽章にわたって、メトロノーム記号がついている。
もじゃもじゃ頭のベートーベンが、トレードマークの髪を振り子のように振りながら、メトロノームを使い作曲をしたかとおもうと、なんとも楽しい話である。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670925 |