メイク
【東京雑学研究会編】
§アイシャドーは虫除けのメイク?
目を虫からまもるために始められたメイクがある。それは、アイシャドーだ。アイシャドーは現代では、美しい目の演出としてメイクの大きなポイントとなるが、実はそんな実用的な目的で始められたのだ。
古代エジプトの美術品を見ると、描かれた人物に濃いアイシャドーがされているのがわかる。この時代は、オシャレというよりは薬のようなものだったのである。
アイシャドーは、前三五〇〇年頃、エジプトやその近くにあるクレタ島で始められた。孔雀石を粉砕した緑色の粉や硫化アンチモンから作られた黒いものが目のふちに塗られたのである。エジプトの激しく照りつける太陽から目を守るためだった。また、暑さのためにどんどん繁殖するハエに卵を生ませないようにするためだ。つまり、虫除けのためだったのである。
そのほか、眼病の予防や、魔よけといった呪術的な意味合いもあったようである。
現在のようなオシャレのアイシャドーの原点になったのは一九世紀後半である。フランスで舞台用に、油に顔料を配合したアイシャドーが塗られるようになったのが最初である。
日本でも、江戸時代中期になると、歌舞伎役者がまぶたに紅をさすようになっている。世界的にもその辺りが、おしゃれなアイシャドーの始まりといえるようだ。それが遊里で流行していったということである。
現在のように一般的に使われるようになったのは、第二次世界大戦後である。今では、色も豊富になり、女性の美に大きく貢献している。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670924 |