電化製品
【東京雑学研究会編】
§電化製品が自分のリモコンを識別できるのはどうしてか?
今や電化製品にリモコンは欠かせない。テレビやビデオ、オーディオにエアコンと、部屋には四つも五つものリモコンがごろごろしていて、すぐには見つからないなんていう人も少なくないだろう。
ところで、例えばリモコンでビデオの「電源」のスイッチを入れる、すると近くにあるテレビにも当然、信号は送られていると思うのだが、電源が入るのはビデオだけだ。電化製品はリモコンからの信号が自分のかどうかを、どうやって識別しているのだろうか。
リモコンとそれぞれの電化製品は、暗号を使って信号を交換しているのだ。
リモコンが発する信号には、無線電波、赤外線、超音波などが使えるが、家電製品の場合は赤外線が多い。これは波長が長く、あまり遠くまで飛ばないためで、遠くに飛びすぎると、例えばとなりの家のテレビに反応してしまうなど不都合が起こりやすい。
リモコンが登場したての頃はチャンネルを順番にしか変えられなかったが、これは超音波の周波数を変えて信号を送っていたからだ。現在の赤外線は、多くの種類の信号が出せるので複雑な命令ができるようになった。
リモコンと電化製品は、「一チャンネル」「再生」「温度上昇」などの命令に応じた暗号のコード表を共有している。
赤外線方式のリモコンは、命令を暗号化してパルス(波形の電流、電圧)信号のかたちで発信する。赤外線を発するのは発光ダイオード(LED)だ。
受信する機械の側は、フォトダイオードがパルスを電気信号に変換して受信用ICに送り、電気信号は波形を整えてパルス信号に戻される。すると機械のマイコンが、パルス信号に対応するコードを探してスイッチやチューナーなどに命令を伝え、それぞれの部分は命令に応じた行動を起こす。
なにやら、組織的なスパイ合戦のようなことが、リモコンと電化製品の間で行われているわけだ。
そのため、例えば同じテレビでもメーカーが違えばリモコンも違うのが普通だが、いろいろな暗号を出せるようにした、解読のスペシャリストのようなリモコンが別売のいわゆるコンパチブル・リモコンだ。最近は、お年寄りが使いやすいように、表示やボタンを大きくしたタイプがよく売れているという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670644 |