天気図
【東京雑学研究会編】
§明日の天気がわかるのは戦争のおかげ!?
必要は発明の母である。明日の天気を予測する天気図もやはり誕生のきっかけはそれだったのである。
一八五三年のこと。ナイチンゲールが活躍したことでも知られるクリミア戦争が勃発した。ロシアとトルコがパレスチナにある聖地の管理権をめぐって争った戦争である。
そのときに、トルコ軍に加担しようとイギリスとフランスの連合艦隊は黒海に集結していた。しかし、激しい暴風雨に大打撃を受け、そのうち一隻は沈没するという結果になってしまったのだ。敵は自然だったのである。
フランスの国防大臣は、パリ天文台長のニヴェイラに調査を依頼した。彼はそれがスペイン付近から地中海を経て黒海に来た暴風雨だということを解明するとともに、きちんとした天気図があればそれが予測できたということも確信したのである。
それで、フランスは気象局を設けて、気象観測をはじめ、天気図をきちんと作製するようになったのだ。
ちなみに、初の天気図は一八二〇年にドイツの物理学者ブランデスによって発明されている。しかし、このときはそれは実用化されなかった。明日の天気がわかるようになったのは、つまりは、クリミア戦争がきっかけだったのである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670645 |