ダルマ
【東京雑学研究会編】
§ダルマが商売繁昌の縁起物とされるのはなぜ?
居酒屋や食堂には商売繁昌を祈願してダルマを飾っているところが多い。選挙に当選した政治家がダルマに目を入れている風景もお馴染みのものだ。
ダルマが商売繁昌や祈願成就の縁起物になったのは江戸時代「起き上がり小法師」の大ヒットがきっかけだった。
ダルマは六世紀頃に実在した禅宗の始祖・達磨大師が座禅する姿をアレンジしたもの。
インドの高僧・達磨大師は、中国の嵩山の少林寺に入り、九年間、壁に面して座禅を続け、禅の奥義を悟った。この達磨大師の「面壁九年」の故事にちなんで「起き上がり小法師」が作られた。座禅した達磨大師の姿を模した赤い張り子の人形を倒しても倒しても起き上がってくる。これは底におもりを入れているからだが、これがおもちゃとして江戸時代に大ヒット。
達磨大師が高僧だったこと、倒れても起き上がるのが不屈の精神に繋がることから、縁起物として日本全国に定着した。そして「倒れない」→「倒産しない」→「商売繁昌」と、店舗などに飾られるようになったのだ。
関東地方を中心に目が白いままのダルマが作られているが、関西では黒目で白黒の鉢巻きをしたダルマが多い。目が白いダルマには、最初、片方の目を入れて、願いがかなえられるともう片方の目を入れる。これは選挙中継でお馴染みの場面だが、どちらの目を先に黒くするかは地方によって違っている。
ちょっと変わったところでは東京都調布市の深大寺の「阿吽の達磨」があげられる。このダルマの腹の部分には「元三大師」の文字が書かれている。「元三大師」は比叡山の一八代の座主、天台宗の中興の祖・慈恵大師の別名。阿吽の達磨の右目には、招福の象徴「阿」が書かれていて、祈願成就のときは左目に「吽」の字を書き込んで奉納するのだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670588 |