玉入れの籠
【東京雑学研究会編】
§玉入れの籠の高さはどうして四メートル一二センチなのか?
「玉入れ」といえば、子どもの運動会で欠かせない競技の一つ。幼稚園児でも小学生でも楽しく誰もが参加できるし、高校生が行ったとしても、それなりに盛り上がる競技である。
学校などで行われている玉入れは、制限時間内に何個入れられるかというルールだが、最近になって、大人が行う競技として、新しいルールの玉入れが登場した。一〇〇個の玉を入れる速さを競うタイムトライアルで、単純のように見えて、時間に応じて投げる人と集める人のフォーメーションを変えるなど、頭脳プレーもあれこれ要求されるゲームとなっている。もはや玉入れは子どもの競技ではなく、立派な大人のゲームとして定着しつつあるのだ。
このタイムトライアル形式の玉入れは一九九〇(平成二)年に北海道の和寒町が「ふれあいまつり」のイベントとして考案したもの。その後徐々に人気が高まり、毎年九月に一五〇ものチームが集まって熱戦を繰り広げる。優勝賞金は一〇〇万円だ。
大人に人気が高まった理由は、籠の高さにもあるようだ。公式ルールの玉入れの籠の高さは四メートル一二センチもあり、小学校用の二倍以上も高いのである。この高さを考案したのも和寒町で、最初に新しいルールの玉入れをやろうと決めたものの、大人が楽しめるには籠の高さがどれぐらいが適当なのか、実行委員会は大いに頭を悩ませたという。
そんなとき、「どうせなら町にちなんだ数字にしよう」という案が出て、採用されたのが一九七八(昭和五三)年二月にこの町が記録した最低気温マイナス四一・二度C。この数字を使って四メートル一二センチとなり、これが結果的に公式ルールとしても採用されているというわけ。
ちなみに日本の最低気温記録は旭川市が一九〇二(明治三五)年に記録したマイナス四一度。和寒町の記録はそれを下回っているが、公認記録とはなっていない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670586 |