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雑学大全ヒトの不思議 > 人物

田山花袋
【東京雑学研究会編】

§死ぬ気分をインタビューされた作家の最期

日露戦争(一九〇四~〇五年)の後、日本では、浪漫詩人が次々と自然主義文学を形成していった。
島崎藤村国木田独歩と並ぶ自然主義の重鎮に田山花袋があげられる
田山花袋の『蒲団』は島崎藤村の『破戒』と並び称される自然主義文学の名作である。『蒲団』では実生活の愛欲の告白記として文壇に大きな影響を与えた。
この後も日本の自然主義文学は『蒲団』の強い影響を受け、虚構を避け、あくまでも実生活に則した表現をめざし続けた。
さて、この田山花袋が死に瀕したとき、島崎藤村との間に次のようなエピソードが残されている。
一九二八(昭和三)年一二月に脳出血で倒れた田山花袋は、翌年五月に喉頭ガンも発見された。
一九三〇(昭和五)年五月五日、病床の田山花袋のところに島崎藤村見舞いにやってきた。普通ならここで「思ったより顔色がいい」とか「じきによくなるだろう」といった励ましの言葉を述べるところ。ところが島崎藤村は、田山花袋の顔をじっと見つめてこういった。
「この世を辞してゆくとなると、どんな気持ちがするものかね?」
尋ねられた田山花袋は、怒ることもせず、慌てることもせず
「なにしろ、誰も知らないくらいのところへ行くのだから、なかなか単純な気持ではない」。
苦しいかね?」
苦しい
聞く方も聞く方だが、飄々と答える田山花袋大したものだ。この翌日、田山花袋は重体に陥り、五月三一日、ついに永眠した。島崎藤村の一見、無神経にも思える質問は、無気味なほどタイムリーなものだったのだ。




東京書籍 (著:東京雑学研究会)
「雑学大全」
JLogosID : 12670587

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編集:東京雑学研究会
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発売日:2004年8月
ISBN:978-4487799473

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