単位
【東京雑学研究会編】
§世界でもちいられる日本の単位とは?
「匁」という漢字を見て、さて、何だろうと疑問に思う人は少なくない。そして、実はこれは世界に通用する重さの単位で、立派な国際語なのである。一匁は約三・七五グラムである。
「匁」はもともとは江戸時代に使われていたお金、開元通宝一枚の目方であるが、このお金一枚とつりあう重さを「一匁」と定めていたのだ。
現在の日常生活では、重さの単位は「グラム」で表記され、「匁」の単位をもちいることはない。では、世界に通用する重さの単位とは、いったいどういうことなのか。
「匁」の使用は、特定の業界に限定されている。それは真珠の取引の世界。真珠の目方をはかる単位としてのみ使われているのだ。
世界で最初の真円真珠の養殖に成功したのは日本である。「ミキモト」創業者の御木本幸吉が一〇年におよぶ試行錯誤の末、一九〇五(明治三八)年にその技術を確立。そのとき、日常的にもちいられていた重さの単位が「匁」だったというわけだ。
真珠の養殖法を完成させ、その輸出量の多い日本の習慣が、そのまま世界に浸透するには、それほど時間はかからなかったようだ。
やがて神戸が真珠の集荷地となり、日本には世界中の真珠が集まってきた。と同時に、「匁」という単位も世界中にひろまっていったのである。
一九五八(昭和三三)年に尺貫法は廃止されたが、世界的に定着した単位を撤廃するわけにもいかず、現在にいたっているのだ。宝石の単位は、一般に「カラット」を使うが、真珠だけは「匁」の単位も使われている。ちなみに、真珠の直径はミリ、ネックレスなどになったときの長さはインチで表すという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670590 |