三角定規
【東京雑学研究会編】
§三角定規にはなぜ穴が開いているのか?
小学生の頃から使いなれた三角定規。透明のプラスチック製で、二種類がセットになり、ケースに入っている。しかも、その中央には、必ず穴が開いている。普段何気なく見ているこの丸い穴は、何のために開けてあるのだろう? 事務用品メーカーのコクヨの広報部は、次のように説明している。
三角定規はたいていプラスチック製の薄い定規であるため、紙や机にピッタリとくっついてしまうことがある。そうなると、辺が斜めになっているため、はがしにくいのである。それで中央に穴を開けて、指を引っ掛けやすくしたというのが、理由の一つである。
次の理由は、この穴が空気を抜く役目をしているということ。穴があれば、中央にたまった空気を完全に抜くことができる。それで、紙と定規を密着させることができるのだという。
第三の理由は、摩擦を防ぐためである。三角定規は紙の上を滑らせる。摩擦が大きいと、滑りにくい。穴があれば、そのぶん摩擦が減るのである。
第四の理由は、定規の変形を防ぐため。温度の変化により、プラスチックの定規は伸びたり縮んだりする。定規の大きさが変化して、目盛りが狂わないよう、穴で伸縮を調整しているという。穴があることで、形態の安定が保たれるのだ。
それでは、なぜ穴が丸いのか? それは穴の強度の問題である。四角い穴は、角に多くの負担がかかり、ひび割れが生じやすいという。
小さな文房具である三角定規が、こんなに綿密に作られていたとは驚きである。実に合理的で、多くの知恵が詰まっている。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670398 |