泡盛の基礎知識
【あわもり】
焼酎の原点であり古酒の源流でもある
泡盛は1470年頃に琉球(現在の沖縄県)で造られるようになったと考えられている。それ以前の琉球では、シャム(現在のタイ)との交易で取り入れられたラオロンという蒸留酒が飲まれていたが、15世紀後半にシャムとの交易が減少すると、独自の蒸留酒である泡盛を造るようになったといわれる。
琉球が王国だった当時の泡盛は、庶民の酒ではなく宮廷酒であり、王府公認の首里三箇(鳥小堀、赤田、崎山の3つの村)でしか製造が許されなかったという。しかし、明治9年から民営自営化が許され、そこから県内一円に広がっていった。原料は明治時代までは地元の米や粟が主流だったようだが、以降はタイ米が主流となり、製法も今日のような全麹仕込みが一般的になっていった。
ところで泡盛の大きな特徴の一つは黒麹菌を使うことである。これは黒麹菌が雑菌繁殖を抑えるクエン酸生成力が強いためだ。このおかげで常夏の島でも腐造の危険性を低く保てるのである。さらに特筆されるのが「クース」と呼ぶ古酒の存在。近年は焼酎にも熟成して出荷する銘柄が少なくないが、原酒を甕で長期貯蔵して熟成させ、より芳醇でまろやかな味わいにするという発想は泡盛が起源である。
| 東京書籍 (著:監修:SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)) 「焼酎手帳」 JLogosID : 8538621 |