渋滞②
【じゅうたい】
渋滞はなぜ起こる?
大都市は慢性的な渋滞に悩まされているが、最近は地方の都市にまで波及しつつある。車の増加していくスピードに、道路整備が追いつかないのである。そのため、渋滞の発生区域が年々拡大していく傾向にある。
では、なぜ渋滞が発生するのか。その原因には大きく分けて、自然渋滞、工事渋滞、事故渋滞の三つのパターンがある。一定の速度で適正な車間距離を開けて走っていた車が、徐々にスピードを落としはじめ、車間距離が縮まってきたら、渋滞の前兆だとみてよい。朝夕の通勤ラッシュ、休日の行楽地へ向かう車の列、年末年始や盆などの帰省ラッシュが渋滞の代表的なものだといえるが、これらはすべて自然渋滞である。
自然渋滞は、交通量がその道路の交通容量を上回った場合に発生する。渋滞の程度は混雑度で表わされる。すなわち、交通量÷交通容量=混雑度。混雑度の数値が低ければ低いほど、渋滞の発生する可能性も低い。混雑度が一・〇であれば、その道路はかろうじて正常に機能しているといえる。しかし余裕はない。
従って、ちょっとした車の流れの変化で、渋滞が発生する恐れがある。たとえば、路上に障害物が落ちていたとすると、その障害物を避けるために車はスピードを緩めて進路を変える。結果として後続車の進路を妨害し、それが原因で大渋滞することがあるのだ。また、高速道路上でそれまでスムーズに走っていた車の列が突然渋滞しはじめ、一定の時間が過ぎると、まるで潮が引いていくように渋滞が解消することがよくある。原因不明の渋滞だと思われがちだが、よく調べてみると、一部の車が対向車線で発生した事故を脇見したためであった。このように、混雑度一・〇はすでに危険状態にある。
また、交通容量が小さくなっている地点、たとえば、それまで三車線あった道路が二車線に減少していたり、前方を路線バスが走っていたり、違法駐車があるなどの原因で渋滞が発生することもある。このほか、右折車線のない交差点で右折車があると、すぐ後の車は車線変更を余儀なくされ、後続の進路を塞ぐことになる。道路に段差があるために、そこでスピードを落としたことによって渋滞が発生することもある。このように、自然渋滞にはさまざまな要因がある。
工事渋滞もドライバーにとってはイライラの原因である。工事のために車線が塞がれてしまうのだから、普段は渋滞しないような道路でも、激しい渋滞に見舞われることがある。日時や工事個所を予告して、計画的に工事を行っているとはいえ、日常その道路を利用している車ばかりではないので、渋滞を防ぐことは極めて難しい。
事故渋滞は突発的なものだけに、事故現場に遭遇した車は運が悪かったと諦めるしかない。ほかにも、気象異変、たとえば積雪や台風などで交通渋滞が起こることもある。
| 日本実業出版社 (著:浅井 建爾) 「道と路がわかる事典」 JLogosID : 5060099 |