【暦の雑学事典】5章 季語と年中行事の雑学 > 葉月
後の薮入り
【のちのやぶいり】

江戸時代の奉公人は、正月と盆ぐらいしか休暇がなかった。正月一六日に、一日の休暇をもらって生家に帰ることを「薮入り」といい、盆の七月一六日の休暇のことを「後の薮入り・秋の薮入り」という。語源については、都会から薮深い田舎の生家に帰るからという説がある。江戸初期の『和漢三才図会』には、「孤独な身の上の者は、帰る家もないので、薮の中に入って遊ぶのも随意という意味だろうか」という解釈が載っている。
薮入りは走百病とも書く。古く中国で、正月一六日は寺院に詣でる習慣があり、これを走百病(あちこち歩き回るという意味か)といった。休暇をもらった奉公人は、寺の境内や門前の店で遊ぶことが多く、走百病を薮入りの別名としたようだ。
![]() | 日本実業出版社 (著:吉岡 安之) 「暦の雑学事典」 JLogosID : 5040160 |