【暦の雑学事典】5章 季語と年中行事の雑学 > 長月
長月
【ながつき】

旧暦九月の異称。『日本書紀』『万葉集』では、九月と書いてナガツキと読ませている。ナガツキの語源としては、夜がだんだんと長くなるからとするヨナガ(夜長)月説が古くから信じられてきた。しかし、「夜昼の数はみそぢにあまらぬを など長月といひはじめけむ」(凡河内躬恒)という歌が『拾遺集』に載っている。これは一か月の日数が三〇日を超えることがないのに、なぜ長月というのかと疑問を呈した歌だから、夜が長くなるから長月という理解は、それほど一般的ではなかったことがわかる。稲が実りを迎える月であることから、江戸時代の賀茂真淵はイナカリ(稲刈)月説、本居宣長はイナアガリ(稲熟)月説を唱えている。
![]() | 日本実業出版社 (著:吉岡 安之) 「暦の雑学事典」 JLogosID : 5040161 |