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60歳からの人生を愉しむ心理学第4章 一生を共にする「周り」を >

会社のマネジメントにかまけて家庭のマネジメントを怠らない

国際間のルールを決めるときも、国の力関係によって必ずしも公平なルールが決められるとは限りません。同じように、夫婦間のルールも、公平とは言えない場合が多々あるでしょう。
たとえば、「フィギュアを置くのはあなたの部屋だけにして」と妻に頼まれても、「この家は俺の稼ぎで借りているんだ! どうしようと俺の自由だ!」と聞こうとしない。妻も家事に子育て、家庭のマネジメントに協力しているのに、決定権は常に夫。これでは公平なルールの決め方とは言えないし、妻は家庭を自分のテリトリーと感じて安らぐことができません。
G・デイヴィッドソンの調査によると、一六二組の夫婦のうち、「二人の関係が公平(お互いに貢献度に応じた利益を得ていると感じること)なものである」とみなしている夫婦が最も幸せな結婚生活を送っていたそうです。
「私のほうが貢献しているのに、それに見合った利益を得ていない」と感じている人は、当然、幸福とは言えないでしょう。
けれども、その相手が必ずしも「自分は貢献度以上の利益を得ている」と考えているとは限りません。お互いに「相手のほうが得をしている」と不公平感を抱いている場合も多いのではないでしょうか。
熟年離婚は、夫婦のどちらかにこの不公平感が高い場合に多いでしょう。定年になったとたん、突然、妻から離婚を切り出され、年金生活に入ったら夫はお払い箱。夫の立場からは「長年、一生懸命働いてきたのに」と、やりきれない。けれども妻のほうも、そんな決意をするほど長年、我慢をしてきている。お互いに満足を感じられないまますれ違ってしまった不幸な例です。
それでは、どうすれば公平なのか? 貢献度に見合う利益とは何なのか?
これは人それぞれで、「こうすれば公平」と他人に正解を出してもらうのは難しいでしょう。自分のテリトリー内にいる相手に、何が不満なのか、どうしてほしいのかをよく聞いて、お互いの要望を擦り合わせ、調整していくしかありません。
会社のマネジメントにかまけて「家庭のマネジメント」を甘く見ると、自分のテリトリーを失う危険があります。




渋谷昌三(目白大学教授)
日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授))
「60歳からの人生を愉しむ心理学」
JLogosID : 8615418


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