【60歳からの人生を愉しむ心理学】第1章 老朽化しない上手な年のと >
「アンチ・エイジング」より「サクセスフル・エイジング」

世の中は「アンチ・エイジング」流行りです。垂れてきた頬の肉をリフトアップし、シワを伸ばし、若々しく装おうと、みな必死です。しかし、あまり若作りすると、かえって年齢が強調されてしまうこともあるようです。「アンチ・エイジング」の「アンチ」とは、「反対する」「対抗する」という意味。
「エイジング」は「老化、加齢」。これは、年をとることを否定し、「年をとりたくない」と年齢に抗うことです。
確かに若さはそれだけで美しい。しかし「老い」を「醜い」こととして、若いときそのままに保とうとするのは、どこかに無理があるようです。老いを醜さとしてとらえればとらえるほど、隠そうとすればするほど、その醜さがにじみ出てしまうのかもしれません。
「サクセスフル・エイジング」という言葉をご存じでしょうか。「サクセスフル」とは「成功した」「うまくいった」という意味。つまり「上手に年をとる」ということです。私は「アンチ・エイジング」より「サクセスフル・エイジング」を目指すほうが人生は豊かになると思うのです。
エイジングを「醜いこと」「悪いこと」としてイメージするより、「美しいエイジング」をイメージするほうが、よりきれいに、より魅力的に年をとることができるのではないでしょうか。
体力・筋力を維持するために、適度な運動をする。でぶでぶと太ってしまわないよう、年齢に見合った健康的な食生活を心がけるには自己管理力が必要です。
今の自分に似合うファッションを選ぶには、自分を客観視する目が必要でしょう。
つまり、上手に年をとるためには、これまでの経験や知識を生かす。まさに「結晶性知能」が豊かな人ほど、エイジングを成功させることができると言えるでしょう。
女優でも、「若いときはきれいだったのになあ」と残念に思う人もいれば、「若いときもきれいだったけれど、今も素敵だな」と思う人もいます。身近な先輩も参考に、サクセスフルなエイジングをイメージしていきたいものです。
渋谷昌三(目白大学教授)
![]() | 日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授)) 「60歳からの人生を愉しむ心理学」 JLogosID : 8615381 |