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60歳からの人生を愉しむ心理学第1章 老朽化しない上手な年のと >

新しい道具が人生後半戦の味方になる

人間は、年をとるほど新しいことへの適応力が低くなる傾向があります。ビデオが登場したときも、ワープロやパソコンが登場したときも、オジサン、オバサンたちはその使い方に苦戦していました。
その苦戦ぶりを笑っていた若者たちも順調に年を重ね、今や「ついていけない」世代に。だいたい世の中の進化のスピードが早過ぎるのです。やっと携帯電話の使い方を覚えたと思ったら、今度は「スマホ(スマートフォン)」。「俺はもうこの携帯電話でいい。これで十分だ」と決めて、故障した携帯電話を持って店に行き、「これと同じ機種をください」とでも言おうものなら、そんな古い機種はもう売っていないと言われます。自分がオジサンになったと感じる瞬間です。
こうした、新しいことに適応する能力を「流動性知能」と呼びます。流動性知能は年を経るとじょじょに衰えてきますが、もうひとつの素晴らしい知能があります。それが先述した「結晶性知能」。こちらは今までに積み重ねた経験や知識を結晶化させる能力。この能力は六〇歳頃がピークで、その後、八〇歳を越えてもさほど衰えないと言われています。この「結晶性知能」をどれだけ発揮できるか、今までの経験が問われる年代となるでしょう。蓄積がなければ結晶化もないのです。
しかも現代では、以前に比べて年をとっても「流動性知能」を鍛えられる機会が増えています。新しいものがどんどん出てくる世の中。テレビもデジタルになりましたが、お年寄りだってリモコン操作に慣れざるを得ない。最初は「携帯電話なんて必要ないよ」と言っていたおじいちゃんも、孫とメールのやりとりをしたいばかりに使い方を覚え、そのうち絵文字まで使いこなすようになっています。
新しい知識もさらに蓄えながら、結晶化していくのが今どきの中高年の生き方。最近の新しい道具はどんどん簡単になっているのが特徴です。食わず嫌いは損。「習うより慣れろ」で使ってみれば、人生を愉しむ心強い味方になってくれるはずです。




渋谷昌三(目白大学教授)
日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授))
「60歳からの人生を愉しむ心理学」
JLogosID : 8615379


【辞典内Top3】 人生の前半戦に強い人、後半戦に強い人  「達成動機」の低い人は年をとるのが下手  「新奇性」があると、年をとっても軽やかな人になる  
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