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60歳からの人生を愉しむ心理学第1章 老朽化しない上手な年のと >

会話に「あれ」の頻度が増えてきたら

誰もが「老い」を感じ始めるのは、まず記憶力の衰えでしょう。会話の「あれ」の登場頻度が急上昇。
「あのお菓子のCMに出ていたあの人が持っていたあれ」
「どのお菓子?」
「ほら、あれあれ、あのドラマでよくやっている」
「どのドラマ?」
「あの子役出身の女優が主演している」
「子役出身?歌舞伎役者と結婚した人かな?」
「それはあれでしょ?もうちょっとあれ」
という具合で、会話は迷宮入りに......。
頭の中のどこかにあるはずなのに、どうしても出てこない。あと少しで出てきそうなの
に、思い出せない。これを「メモリーブロック」と呼びます。しかし、今の時代には「検索」という便利なものがあります。脳内検索がスムーズにいかなくなっても、インターネット上で検索すれば何かしら思い出せるかもしれません。中高年でも検索くらいは大過なくできるでしょう。また、昔は電話機の横にアドレス帳が置いてあって、「ゼロ、サンの......」と見ながらダイヤルを回していたものですが、今では電話番号は登録しておけば電話機がメモリーしてくれるから大丈夫。電話機にメモリーブロックはありません。
考えてみれば、今の世の中には人間の衰えを補ってくれる技術がたくさんあります。この幸福は大いに享受したいものです。東海道をてくてく歩いて行かなくても、新幹線も飛行機もあるのですから、お伊勢参りだってひとっ飛びです。
もちろん、てくてく歩く愉しみを味わいたい人は、歩いてもいい。けれども歩けない人もお伊勢参りをあきらめる必要はないのですから、うれしいではありませんか。人生後半にできることはまだまだたくさんある、と思える所以です。
そして、記憶力が衰えてきて気づくことがあります。それは、たいていのことはそれほどはっきり覚えていなくても問題ないという事実です。こういう発見があるから、人間は老いて幸福になっていくのかもしれません。




渋谷昌三(目白大学教授)
日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授))
「60歳からの人生を愉しむ心理学」
JLogosID : 8615378


【辞典内Top3】 人生の前半戦に強い人、後半戦に強い人  「新奇性」があると、年をとっても軽やかな人になる  フラストレーション耐性の高い人ほど老後を愉しめる  
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