【全国五つ星の手土産】近畿 > 大阪府
肉桂餅[八百源来弘堂]
【にっきもち】

南蛮貿易で栄えた堺が生んだ
エキゾチックな香りの求肥餅
![肉桂餅[八百源来弘堂]](../img/d054/temiyage246.jpg)
16世紀後半の安土・桃山時代に、南蛮貿易の拠点として繁栄を極めた堺へもたらされた肉桂(シナモン)。高貴な香料として珍重されたが、子どもや女性の口には馴染みにくいものだった。それを甘い餅に混ぜて新しい味を考案したのが、当時堺で大きな商いをしていた貿易商の八百屋宗源。時代が下った元禄年間(1688~1704)に、菓子商となったその子孫が先祖の遺徳をしのんで作り上げたのが、現在も伝え続けられている肉桂餅である。
肉桂を練り混ぜた求肥で小豆のこし餡を包んだこの餅は、爽やかな清涼感と甘い香りが独特な味わいを醸し出す。江戸期には茶の湯の席でも好まれたという。確かに渋い色とやわらかな肌合いには、侘び寂の風情がある。このほか、5月~9月には水羊羹の肉桂涼感が好評。かつての呂単の茶壺風の器に入った、懐中汁粉の利休茶壺は冬の人気商品だ。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「全国五つ星の手土産」 JLogosID : 14071845 |