【東京-五つ星の蕎麦】都内の名店88軒 > 台東区
尾張屋本店
【おわりやほんてん】

浅草の老舗

雷門通りに面した明治3年(1870)創業の老舗。自慢は丼からはみ出す大きなエビが2本のった天ぷらそば。エビは車エビの一種クマエビを使い、注文を聞いてからゴマ油でじっくりと揚げる。この天ぷらそば、客の大半が注文するという超人気メニューだ。そばは信州産の粉で打つ二八。
尾張屋は、浅草という土地柄から今も多くの著名人に愛されている。かつてはエノケン(榎本健一)やデンスケ(大宮敏光)、渥美清らも馴染み客だったという。その中の一人に永井荷風がいた。「荷風さんはね、毎日必ず12時5分前になると姿を見せて同じ席に座るのよ。食べるのは、いつもかしわ南ばんで、帰った後に丼を見るとね、まるでなめたように、一滴のつゆも残してないの」と、六代目女将の田中登美子さん。女将が、ここに嫁いだのは昭和29年。すでに荷風は常連客だったという。店内には、かしわ南ばんを食べる荷風の写真が飾られている。支店は吾妻橋交差点近く、神谷バーの並びにある。
![]() | 東京書籍 (著:見田盛夫/選) 「東京-五つ星の蕎麦」 JLogosID : 14071246 |