【東京五つ星の肉料理】猪肉料理 > 墨田区
山くじら もゝんじや
【やまくじら ももんじや】

隅田の川風に吹かれて伝統の味を

亨保3年(1718)の創業時は漢方薬店。薬草や黒焼きなどと併せて猪(猪の薬食いといい、当時は薬として食べた)を扱っているうち、いつかこちらがメインになったという。もゝんじは百獣、つまり四足大型獣一般を意味する。この古くからの看板どおり猪以外の獣肉もそろうが、主力はやはり猪だ。
「猪は脂がうまい。それが天然ものがバターなら、養殖ものはマーガリンって感じかな」と語るのは9代目当主・吉田龍一さん。もゝんじやの猪はむろん天然ものばかり。それも「いい餌があるいい山がないと肉はうまくない。ここにはいい山があるから」と、兵庫・三重・滋賀の3県産に絞っている。
龍一さんは肉切り専門に40年余。その達人が切った肉を10代目を継ぐ龍作さんが調理する。おすすめどおりじっくり時間をかけて煮た猪肉は、ぷりぷりとはじけるような食感に自然の力強さを感じさせ、脂身はじんわりと甘い。心身にパワーが漲るこのひと鍋、まさに「山くじら」の異称にふさわしい。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の肉料理」 JLogosID : 14070863 |