【東京五つ星の肉料理】牛肉料理 > 足立区
大はし
【おおはし】

暖簾を誇る「千住で2番」の居酒屋

明治10年(1877)に初代が千住大橋の傍らに創業、のちすぐに現在地に移転した。一部に昔の建物の梁などを利用した店内は、とても平成16年築とは思えない渋さ。祖父から父・兄と店を継いで、現在は4代目の神野彦二さんが都内一、二の老舗居酒屋の暖簾と、大事な大事な牛にこみの味と鍋を守る。
「もともとが肉屋兼食堂でね、牛めし用の肉の切れっぱしを薄い味つけで煮て、試しに豆腐を入れてみたのが始まり」と神野さん。豆腐抜きが牛にこみ、豆腐入りが肉とうふ。半世紀も前に客の日本画家・伊藤晴雨が「名物にうまいものあり北千住 牛のにこみでわたる大橋」と詠んだ、千住名代の2品だ。
にこみの肉は、ころんとサイコロ状(ま、多少は煮崩れてるけど)の肩ロース。昔からモツは使っていない。歯ごたえしっかりとほんのり甘く、一緒に煮る豆腐にもやわらかく味がしみている。店の看板に「千住で2番」。1番はむろん、牛にこみとキンミヤ焼酎でご機嫌の、今日も店いっぱいのお客さんたちだ。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の肉料理」 JLogosID : 14070860 |