【東京五つ星の肉料理】牛肉料理 > 港区
今朝
【いまあさ】

醤油仕立ての割下は創業時から

文明開化の波がまだまだ高かった明治13年(1880)に当地に開業、以後長い間「芝口(現在の港区東新橋一帯)の牛鍋屋」の愛称で知られた。臭みを取るために味噌仕立てで肉を煮る店が多かった創業当時から、今でこそ関東では当たり前の、
醤油仕立ての割下を使ってきた。醤油の辛さに砂糖の甘さをプラスした割下は、味を常に均一に保てるのが理由だという。
肉は専門の卸から仕入れる血統書つき松阪牛の、それも脂肪が一番よく混ざり合う3歳の雌のみ。半丸の肉は仕入れてから夏は2週間、冬なら1カ月ほど寝かせ、客に供する最高のタイミングを計って手切りする。スライサーで切った肉は煮ると縮んで、せっかくの味わいが逃げてしまうが、手切りの肉は表面に微妙な凹凸を残し、これが味をしっかり閉じ込めるからだ。
永井荷風や獅子文六など、うるさ型の文士たちにも愛された今朝自慢の松阪牛は、まずはざくもみずみずしいすき焼で味わいたい。夏なら、名前どおり涼味満点の新涼づくりが楽しい。
![]() | 東京書籍 (著:岸 朝子/選) 「東京五つ星の肉料理」 JLogosID : 14070838 |
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