【旬のうまい魚を知る本】 >
▼雑巾かトラバサミ必携のメゴチ釣り

市場に出回るメゴチは、底曳網漁で漁獲されるものが多い。そのほとんどがてんぷら用として料理店へ運ばれ、魚屋で見かけることは少ない。われわれがよく目にするメゴチは、シロギス釣りの外道としてだ。この魚を釣ったときの釣人は、苦虫を噛みつぶしたかのような表情になる。なにしろヌメリがすごい。針をはずすためにぼろ雑巾かトラバサミが必要で、これがなくて素手でつかんだりしたら、もういけません。ベトベトニチャニチャで、水で洗っても落ちやしない。始末に悪いことはなはだしいけれど、味は美しいシロギス以上。というわけでシロギス釣りの船上で、メゴチばかりを狙っている食いしん坊の釣人をよく見かける。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070486 |