【旬のうまい魚を知る本】 >
▼マンボウの肝で作る民間薬

以下は勝浦ではなく、静岡・下田の須崎での体験。ここでは昔からマンボウの肝で民間薬を作っていた。肝を長時間とろ火で煮て油状にする。これを冷凍するとラード状に固まる。「飲むと胃潰瘍などが治り、傷口に塗っても効果があるよ」。そう教えてくれた漁師のお宅で、マンボウの脂をほんの少しいただいて、試みに少量を口にふくんでみた。口の中から鼻の中まで、なんともいいようのない匂いが残り、いかにも効果がありそうだ。翌朝、連日の酒で弱っていた胃が、まるで青空のようにすっきりしていたのだった。
![]() | 東京書籍 (著:東京書籍) 「旬のうまい魚を知る本」 JLogosID : 14070468 |